ダム貯水率ゼロ%になるとどうなる?水不足による農業や生活への影響
猛暑と雨不足の影響で、29日未明に宮城県大崎市にある鳴子ダムの貯水率が0%となりました。
2025年7月29日テレビ朝日にてこんなニュースが取り上げられました。
毎日危険レベルの猛暑が続く中ダムの貯水率がゼロという聞き慣れない言葉にみなさん驚きと不安がよぎったのではないでしょうか?
この記事ではダムの貯水率がゼロになることで私たちの生活にどういった影響が出るのか調べてみました。
目次
全国で起きているダム貯水率の低下
新潟県上越市では2025年7月26日より雨不足などによりダムの貯水率が深刻な状況であり、給水スポットが設置されました。
先述の宮城県は稲作が盛んでありこれからの時期は多くの水が必要になる「出穂期」を迎えるため、東北地方整備局では通常は使わない最低水位以下の水の緊急放流を31年ぶりに行っています。
兵庫県丹波市では7月23日にオープンした「市営春日総合運動公園レジャープール」が渇水のため、わずか3日間で「今年の夏の営業」が中止となりました。これはプールに水を供給している三宝ダムの貯水量が大幅に減っていることが原因とされています。
貯水率低下の心配はない地域も
国土交通省の水資源・全国のダム貯水情報に関するホームページを確認すると、関東の利根川水系の9つのダムに関しては2025年7月29日の時点で貯水率は約91%とのことでした。(以下は確認したHPのリンクです)https://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000111.html
また沖縄県でも同様に、国が管理する9つのダムの現時点での貯水率は98%とのことでした。(以下は確認したHPのリンクです)https://www.dc.ogb.go.jp/kyoku/mizu/suigen_portal/suigen_portal.html
以上のことからニュースになっているように新潟県や兵庫県・宮城県などにおいて局所的にダムの貯水率低下による水不足は見られますが、全国的には貯水率の低下が見られないダムもあるようです。
水不足による米への影響
日本人には欠かせないお米、高騰が嘆かれる中で水不足による影響はあるのでしょうか?
- 生育不良(成長が遅れたり稲が変色してしまう)
- 収穫量の減少
- 品質の低下(粒が小さい、味の低下など)
上記だけではないですが、水が足りないことでお米への悪影響があるのは明らかなことがわかりますね。
地球温暖化による気温の上昇もあり、現在農林水産省からは高温耐性品種への切り替えを推奨しておりそのための支援が不可欠だと強調しています。
食料自給率の低下が問題とされる日本で生活に根付いた米作への支援を国や政府がしっかりと考えて欲しいですね。
過去の水不足ではどうなった?
2022年には四国地方で記録的な少雨で香川県の早明浦ダムは水位が20%を下回り、農業用水の供給が大幅に制限されました(日本農業新聞、2022年9月15日)。米作では、灌漑不足で稲の生育が遅れ、一部地域で収量が平年比20%減となりました。
2023年には東日本は猛暑によって福島県の矢吹ダム(水位16.4%)や利根川水系の9ダム(平均水位67%)で水不足が発生。東京では7年ぶりに節水要請が出され、農家が水田管理に苦労しました(朝日新聞、2023年8月26日)。この猛暑と水不足は米の品質にも直結し、特に新潟県では2023年産コシヒカリの一等米比率(最も品質の高いコメのこと)が記録的な低さになりました。
このように近年は猛暑と水不足により農業・特に米に関して大きな影響が出ていたことがわかりますね。このことから考えると、今年も全国的に米の収穫量減少や品質確保が難しくなるのではないでしょうか。
ダム貯水率は何%になったら危険なのか
これは明確に何%といった一律の基準はないようです。しかし国土交通省や環境省など各関係機関において渇水時などの対応についてさまざまな取り決めがされているようです。
1件例を挙げると、2021年の千葉県の『渇水対応の手引き』に関する資料から、【渇水状態とは 梅雨明け(7月中旬頃)にあって、ダムの貯水量の合計が基準貯水量の40% 程度(520万㎥)に減少した場合、渇水状態となりますので取水制限を実施しま す。】といった一文がありました。(以下引用リンク)https://www.pref.chiba.lg.jp/suidou/kyshisetsu/documents/kassuitaiounotebiki.pdf
このことから千葉県ではダム貯水量が40%を下回ると取水制限、いわゆる給水制限が行われるようですね。
私たちの生活への影響
では実際に給水制限が行われた場合、私たちの日常生活への影響はどうなのでしょうか。
- 夜間断水・減圧給水(水圧が弱くなる)
- 庭への散水や洗車の禁止
- プール・噴水など公共、レジャー施設の制限
- 水道料金の値上げ
まず考えられるのはこういった影響でしょう。もしこの対策でも水不足が改善されない場合は更なる制限が推測されます。
- 時間帯別の断水
- 完全断水による給水車での排水
ここまでの制限がくるとかなり日常生活が不便になってしまいますね。
普段から非常時への備えが重要
年々温暖化による猛暑や水不足が問題となっており、今後も継続していくと予測されます。そんな中で私たち一般人は自分のためにもしっかりと日頃から備えをしておくことが重要ですね。
渇水時のために準備しておいた方がいいものとしては、
- 水の備蓄目安: 1人1日3リットルを目安に最低3日分、できれば1週間分(1人あたり21リットル)。ペットボトルなど長期保存可能な防災用飲料が最適。
- 非常用トイレ:凝固剤や消臭剤などとセットになった水がなくても使用できるもの。
- ウエットティッシュやボディシート:入浴が制限されるため。
- アルコール消毒や除菌スプレー:手洗いできない環境での感染予防。
- 緊急時の給水所の確認:住んでいる自治体などのウェブサイトで災害時の給水所について調べておく。
これらはいわゆる地震などの防災セットに含まれるものだと思うので、定期的に期限や使用できるかどうかチェックしておくのが大切です。
全国で恵みの雨を望む声がありますが、残念ながら現時点で本州の広い範囲で今後1週間は降水量の少ない状態が続く見通しです。
私たちの生活に欠かせない水の減少で不安に感じる方も多いでしょうが、体調に気をつけつつ節水にも注意していかないといけないですね。